身の周りのデバイスの中で電子は量子力学の法則に従って動き、働いています。
量子力学的な性質が表にあらわれているかどうかは、デバイスによりさまざまですが、
少なくともその動作を根本から正しく理解するためには量子力学が絶対に必要です。

また最新のエレクトロニクス技術は実にさまざまな固体材料によって支えられています。
限られた元素の組み合わせで無限ともいえる多様な材料が生まれるのも量子力学のおかげに他なりません。

この講義は、電子工学のための量子力学を意識し、固体の中の電子の振る舞いがイメージできるようになることを目標とします。
学習する上で、電子がもつ波動性の理解が最初の壁になると思いますが、
ここでつまずかないようにするために、波動の復習やその定式化をしっかりやります。
シュレーディンガー方程式を早い段階で導入し、手を動かしながら少しずつ電子のイメージをつかんでもらいます。

量子力学が生まれるまでの歴史や最先端の量子デバイスなどについては、
毎回の授業の中で一定の時間を割き、以下のシラバスの内容と並行してお話していきたいと考えています。

次の計画に沿って講義を進めます。
(1) 電子工学のための量子力学(1回)
(2)波動の復習(1.5回)
(3) 光の粒子性と波動性(2回)
(4)物質波(電子の粒子性と波動性)(1.5回)
(5) 波束の概念と不確定性関係(1.5回)
(6)演習(1回)
(7) 解析力学(ハミルトニアンの導出)(0.5回)
(8) シュレーディンガー方程式と波動関数(2回)
(9) 確率の流れとトンネル効果(2回)
(10) 量子閉じ込め効果(2回)

(パスワードは授業中に発表します)
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